SOTO

Hinoto専用に作られた、転倒防止用のスタビライザーができるまでのお話

2022.11.01 読みもの

SOTOの製品ラインアップの中にこんな商品があることをご存知でしたでしょうか?


これはHinotoの発売から約1年後にあたる、2022年4月に発売されたHinoto専用のスタビライザー。
Hinoto(ひのと) スタビライザー (※以後 スタビライザー)

収納時はとてもコンパクトですが、開いて充てん式専用タンクへ取り付けることでHinotoにさらなる安定感を与える一品です。


実際に灯りをともす燃焼器具が存在感を放つ一方で、こういったアクセサリーが、より ” 便利 “ で ” 安定 “ した使用感を支えています。
そして、そんなアクセサリーにもSOTOのこだわりがたくさん詰まっているのですが、今回の記事では、普段なかなか目には見えない、そんな「こだわり」をご紹介します。

構想は製品発売前の設計段階から

こういったアクセサリーは、製品発売後、実際の使用感における改善点が見つかり追加開発されるケースが多いのですがHinotoの場合は違いました。    

開発の設計段階から担当者の頭の中にはスタビライザーなどのパーツをつける構想があり、充てん式タンクの底面にはあらかじめ “ カメラネジ(1/4インチねじ) “ が取り付けられていました。

発売当初は何のアクセサリもなかったため、タンク底面にあるネジを見て「何のためのネジ?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、こういったところにも、「製品は作って終わりではなく、常に発展の可能性」を見据える開発設計者の姿勢がうかがえます。

設計のベースはFUSION Trek SOD-331のゴトクの機構

FUSION Trekは、バーナーの吸気管を軸として3枚のゴトクがついています。

このゴトクを回転させることで展開する仕組みです。

Hinotoスタビライザー も同じ仕組みで中央のネジを軸に3枚の脚がまとまっています。

小型で軽量なため、脚を2枚つまんで回すだけで簡単に開き切ることができ、脚の動きはとてもスムーズです。

開ききる時のクリック感がくせになる…

脚が開ききる瞬間、コリッとしたクリック感が感じられ、目をつぶっていても開ききったタイミングがわかります。

これによって強く開きすぎることも、開きが甘くなることもありません。

ただの平らな金属いたを3枚重ねただけではこうはならず、部品同士の干渉を防ぐためにエンボス(小さな凹凸)加工が施されていますが、エンボスの高さやネジの設計変更を重ねたことで回転時の抵抗と収納・展開時のクリック感を両立することができました。

画像:エンボスを入れるためのプレス加工機。35tの圧力をかけることができます。

脚 1枚1枚の質感にも担当者の強いこだわりが存在

脚1枚1枚の表面加工の仕上げ処理はバレル加工という研磨法で行います。

画像:加工先(鈴木製作所)のバレル加工機

福引きの抽選に使われる抽選機(ガラポン)のような本体に金属部品(工作物:脚)と研磨石をいれて回転させたり振動させることで金属部品の表面を加工することが一般的です。

しかし、いろいろなパターンを試してみたところ、研磨石を入れると表面に線傷がつき見た目を損なってしまうと感じました。最終的には研磨石を入れずに金属部品のみを入れ、部品同士で研磨することが最適と判断しました。

また、加工時間によっても仕上がりが異なり、担当者のFが色々な時間設定を試す中で60分が最適な時間と導き出しました。

加工の精度は表面の見た目だけでなく、手触りにも影響してくるためとても重要な工程でした。

バレル加工をする前の金属部品は角が尖っているため、触れると指が切れてしまわないかと少し不安になりますが、加工後は角が取れてとても安心できます。

この工程と時間を見つけるために、1度や2度ではなく何度も足繁く加工機の前に通い、幾度となく試作を繰り返した末に納得のいく加工法を見つけました。

たかがスタビライザー、されどスタビライザー。

こんな小さな製品にも随所に細かなこだわりが詰まっているからおもしろいのです。

普段は見えない内側のお話でした。

終わり。

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